お客様の時間をより豊かに。より素敵な時間へ華を添える

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家族が揃う唯一の時間だった外食。子どもの頃の楽しかった記憶が飲食店をスタートさせた。これからも最高の時間と空間を提供し、笑顔で帰れる『のんき』を続けていく。

荻野貴匡(おぎの たかまさ):1981年、東京都出身。幼少期からボクシングに触れ、20歳でプロライセンスを取得。その後は俳優活動も経て、2007年に株式会社ネクストグローバルフーズを創業。東京都赤羽に『もつ焼のんき』1号店をオープン。直営店、FC店を含む21店舗(2023年8月時点)を展開中。

月に一度、家族が揃う外食が楽しみだった

─まずは、荻野さんが起業を決めたきっかけから教えてください

私の家庭環境が影響してると思います。両親が特殊な職業ということもあり、幼い頃から家族の時間がほとんどありませんでした。その家族が揃う唯一の時間が、月に一度の外食だったのです。当時はバブル景気の真っ只中で、どの店も大勢の人で賑わってる。子どもだった私の目には、華やかな別世界に感じられました。

─当時は内装も豪華な上、上向きだった経済が人々の活気にも現れてましたね

確かにそうでした。しかも、私にとっては貴重な家族との時間でしたし。楽しかった思い出として、30年経った今も鮮明に覚えてます。改めて昔を振り返ると、「将来の夢は料理人」と、常に文集や卒業アルバムに書いてました。大好きな家族での食事が、飲食業を目指す土台になったと思います。

失敗から学びつつ、新たな挑戦を仕掛ける

─『もつ焼のんき』は1号店から好調だったそうですが、途中で大きな失敗を経験されたとお聞きしました

3店舗目の出店ですね。2店舗目まで順調だったので、これまでの倍の家賃で勝負に出たんです。調子に乗った勢いだけで、恵比寿に2フロアを借りてしまった。夏は屋上でビアガーデンもできる思惑で、イニシャルコストも大きく掛けて。結果、すべてが無計画で中途半端。失敗するべくして失敗した挑戦です。そもそもビアガーデンに魅力を感じたはずなのに、オープンさせたのは真冬でしたし(笑)。

私が給与を取れないどころか、2店舗分の利益でも補填できない赤字でした。いよいよ半年が過ぎ、夏のビアガーデン次第では、会社ごと畳むほどの状況です。運よくビアガーデンで売り上げが大爆発。一気にマイナスを回収し、倒産のピンチをなんとか免れました。

「恵比寿の時は採算も何も考えず、無計画でやってしまって。経費どころか私の貯金も底を突くギリギリでした(笑)」

─出店で大きな失敗をすると、その後に新店舗を仕掛ける際の怖さはありませんでしたか

もちろん怖かったですし、今でも出店の度に緊張しますよ。あの失敗からは初心に戻り、すべて計画的に出店するようになりました。ただ、起業3年目の規模で大きな失敗を味わえたのは、結果的には良い学びだったと思います。

─亀戸(カメクロ横丁)の『焼鳥のんき』は、投資対効果の観点では挑戦の一つとも言えますか

おっしゃる通りです。デベロッパーも強気でしたし、条件的にはシビア要素があります。イニシャルコストは大きくなかったですが、やはりランニングコストが課題ですよね。家賃設定が歩率なので、一定までは売るほどコストが上がる。ただ、カメクロ横丁に構えるアンテナ効果や、お客様が発信するSNSなど、ブランディングのメリットもあるんです。

会社の発展とスタッフのQOLを相関させる

─雇用が難しいとされる飲食業界に携わって、改めて取り組むべき課題などはありますか

飲食業は不人気の職種とされる中、個別の企業努力は見られます。理想は、賃金や勤務時間などの労働環境を、業界全体で改善すること。悪いイメージが払拭できれば、今より若い人も働きたくなるし、飲食で起業する人も増えると思うんです。まだまだ飲食業のイメージが悪すぎますよね。

私としては、会社の発展とスタッフのQOL(生活の質)の向上を相関させたい。がんばって売り上げが伸びたのであれば、会社はスタッフの生活を豊かにしないとおかしいですよね。そこで、弊社は賃金はもちろん、休みが増えるとか、イベントを開くとか、あらゆる面でスタッフのQOLを向上させてます。人出不足を解消するためにも、「飲食業=辛い」のイメージを業界全体で変える必要があります。

─スタッフに対する姿勢など、荻野さんは人を大切にされるイメージがあります

もともと会社を始められたのも友人や父のおかげだし、会社を存続できるのはスタッフやお客様のおかげ。自分だけがどんなに頑張ったところで、人なくしては何も実現できないじゃないですか。初期メンバーはまさにファミリーですし、関わる人を裏切るようなことは絶対にしません。

『のんき』で最大のもてなしを体験してほしい

─今後の展開として、FC店舗も始められるとお聞きしました

すでにFCは2店舗(2023年8月時点)が稼働し、引き続き手掛けていく予定です。また、弊社には3カ年計画があり、2024年までに30店舗、年商30億の計画に挑戦してます。推移を見ると売り上げは微妙ですが、店舗数に関しては順調に達成しそうですね。すでにこの計画は公言してるので、必死にがんばろうと思います(笑)。

「公言したからには絶対に達成しないといけません(笑)」

─起業から15年以上が経過し、改めて今後の『のんき』について考えがあればお聞かせください

弊社の理念は、「お客様の時間をより豊かに。より素敵な時間へ華を添える」なんです。世の中には多くの飲食店があり、その中から『のんき』を選んで食べにきてくれる。弊社としては、笑顔で帰っていただくために、お客様に最大のもてなしを提供してます。ありきたりな接客ではなく、心地よい気遣いや心配り、さらには驚きの体験も味わっていただきたい。今では努力の甲斐もあり、スタッフを名指しで褒めていただく機会も増えました。今後もスタッフ一人一人、心を込めて『のんき』を続けていきます。

─子どもの頃は、外食だけが家族が揃う唯一の時間だった。「幼少期の楽しかった記憶が、飲食業に携わるきっかけになったと思う」と荻野氏は語った。最大のもてなしを提供する『のんき』の姿勢は、荻野氏が味わった“外食は楽しいひととき”が、体現されたものだと感じた。

会社名株式会社ネクストグローバルフーズ
住所東京都新宿区富久町16-6 西倉LKビル 7F
代表荻野 貴匡
設立2007年2月
HPhttps://next-gf.com/
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